「AIスカウト」は合法・違法どちらなのか? 厚労省に職業安定法上の見解を訊いた

「AIスカウト」は合法・違法どちらなのか? 厚労省に職業安定法上の見解を訊いた

「求人を探して、履歴書を作成し、面接を受けるのが面倒臭い」

 

就職活動や転職活動を経験したことのある人ならば恐らく誰もが一度は思ったことがある不満だろう。

 

「会社の方からアプローチしてもらい、そこから働きたい場所を選べるなら良いのに」

 

このような怠惰な発想をしたことのある人も少なくないはずだ。

そういった中、2018年初頭にNHKが報じたことで話題になったのが「AIスカウト」である。

 

しかし、このとき話題になったAIスカウトの内容に対して、違法性があるのではないかと話題になったことも記憶に新しい。

私もその一人である。

 

ただし、私が違法性を覚えたのは、多くの人々によって疑義が指摘された点とは異なる。

広く疑義が寄せられたのは、個人情報の取扱についてだった。

私が疑義を抱いたのは職業安定法上の取扱である。

 

今回は、一時期話題になった「AIスカウト」について、職業安定法上問題はないのか、厚生労働省職業安定局需給調整事業課に確認した内容を伝えたいと思う。

目次





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合法か違法か物議を醸したAIスカウトとは何か?

 

一時期話題になった「AIスカウト」について、その後話題になることがなかったこともあり、そもそも一体どういうものなのか分からないという人も多いかもしれない。

 

話題になったのは、株式会社scoutyが提供するサービスで、「日本初のAIヘッドハンティングサービス」と謳われるものである。

 

学習能力に優れた人工知能が、インターネット上のオープンデータから情報を取得して、
エンジニアの能力を自動分析し、最適な企業とマッチング。

出展:株式会社scouty

 

つまり、求職者は求人サイトに登録することなしに企業側からオファーを受けられるというサービスである。

概要としては、株式会社scoutyが運用するAIが、インターネット上にある情報(個人のブログやSNS、技術者情報共有サービスなど)を収集し、求職者のデータベースを作成。

その求職者の情報(匿名情報としている)を元に、企業側はオファーを送りたい人物を選び、株式会社scoutyのサポートを受けながら作成したオファーを送付。

求職者側と直接やり取りを行うというサービスだ。

 

2018年5月5日時点で、以下の上場企業を含む、ベンチャー企業などが利用しているとのこと。

  • 楽天
  • DeNA
  • Cyber Agent
  • freee
  • News Picks
  • Gunosy
  • Retty
  • eureka
  • team Lab
  • MISOCA
  • TeamSprint
  • nextremer
  • コロプラ
  • coconala
  • giftee
  • Game With

AIスカウトに寄せられた「個人情報の保護に関する法律」にまつわる合法か違法かの疑義

 

AIスカウトがNHKによって報じられた後、瞬く間に広がったのは、その適法性についてである。

つまり、そもそもこのサービスは合法なのか違法なのかといった点だ。

 

AIによる人材紹介と個人情報

SNSなどネットで個人情報を収集する”AIスカウト”人材紹介会社について考える

 

違法か? 合法か? これ対して指摘された内容について幾らか取り上げれば、主に以下の点があげられる。

 

また、この他「情報収集先(情報ソース)として利用されているサービス(qiita)の利用規約違反にあたるのではないか」「オプトアウト方法の不在は問題でないか」などの指摘も行われていた。


出典:Hiromitu Takagi on Twitter
※後日規約変更が行われており対処されているものもある

 

尚、これら全てへの回答があったわけではないが、個人情報の取扱については、株式会社scoutyのホームページ上にて公表されている。

 

それによれば、以下の人物によって確認が取れているとのこと。

ただし、この内容は3月25日時点のもの。

出典:HiromitsuTakagi on Twitter

5月5日時点では以下のように変更されている。

scoutyは、ひかり総合法律事務所 板倉陽一郎弁護士をはじめとする複数の弁護士に相談の上、法令を遵守した運営を行っております。

出展:株式会社scouty

 

なぜ経済産業省商務情報政策局情報経済課及び個人情報保護士の名称が消えたのかは分からないが、少なくともひかり総合法律事務所の弁護士によって合法性は担保されているということなのだろう。

 

この個人情報の保護に関する法律の取扱上、株式会社scoutyのサービスが合法なのか違法なのかは、私の方でも確認ができていない。

そのため、現実問題どうなのかは分かりかねる。

しかし、少なくとも弁護士による確認ができており、当局から何らかの指摘がなされているといった話題が出ていないのは間違いない。

AIスカウトは職業安定法上合法なのか? 違法なのか? 厚労省職員の見解

 

さて、個人情報の保護に関する法律において、株式会社scoutyのAIスカウトに疑義が寄せられている点については、上記の通りだ。

一方、先ほど少し指摘があった旨を書いたが、AIスカウトに関しては職業安定法上も疑義があったことは見ての通りである。

私が真っ先に疑義を感じたのも、個人情報の保護に関する法律ではなくこちらの方だ。

 

先ほど指摘されていたのは5条の6。

公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者は、求職の申込みは全て受理しなければならない。ただし、その申込みの内容が法令に違反するときは、これを受理しないことができる。
○2 公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者は、特殊な業務に対する求職者の適否を決定するため必要があると認めるときは、試問及び技能の検査を行うことができる。
(求職者の能力に適合する職業の紹介等)

出展:e-Gov「職業安定法」

 

私の方で気になったのは、5条の4である。

公共職業安定所、特定地方公共団体、職業紹介事業者及び求人者、労働者の募集を行う者及び募集受託者並びに労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者(次項において「公共職業安定所等」という。)は、それぞれ、その業務に関し、求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報(以下この条において「求職者等の個人情報」という。)を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。
○2 公共職業安定所等は、求職者等の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。
(求人の申込み)

出展:e-Gov「職業安定法」

 

そもそも、求職登録の受付が行われないという時点で、苦情処理について等様々な条項に抵触するのではないかと感じたが、真っ先に感じたのはその仕様上職業紹介に不必要な情報まで収集してしまう点である。

 

そこで今回、厚生労働省職業安定局需給調整事業課に対して、株式会社scoutyのホームページを確認して頂きながら見解を伺った。電話に対応して頂いた職員の見解を簡単にまとめると、以下の通りである。

 

  • 当該サービスは、求職者から求職の申込を受けて職業を斡旋しているとはいえない
  • 当該サービスを提供している事業者が行っているのは、インターネット上において個人が自主的に公開している情報を収集し、人材を欲している企業に対してその情報を提供しているものと推察する
  • 当該サービスの概要を鑑みるに、そもそもこのサービスは人材紹介業にあたらないと思われる。よって、その限りにおいて職業安定法に抵触するとは断言できない

 

要するに、株式会社scouty側ではマッチングという言葉を使っているものの、現状のサービス内容を鑑みるに、あくまで株式会社scoutyが行っているのは情報提供に留まっているため、そもそも人材紹介業としてみなして職業安定法に当てはめられるとは思えないということ。

※ただし、この見解はサービス内容を細やかに精査した上での判断ではないため、あくまで表面上このような判断に至ったという点に留意して欲しい。

 

そのため、仮に合法か違法かが争われるのであれば、それは個人情報の保護に関する法律が焦点になるだろうとのことである。

少なくともその点に関しては、個人情報保護委員会などの見解によるとしている。

 

ここまで読んだ人には拍子抜けの結論かもしれない。

AIスカウトが、法的枠組みの中で今後どのような扱いになっていくか分からないが、少なくとも職業安定法上は今回得た回答のようになるとのことである。

私としては、このようなサービスを望む人間は少なくないと感じる。

就活にせよ、転職活動にせよ、あまりに非効率で不合理な手続きが罷り通る現状を思えば、非常に合理的であり、求人者・求職者双方の負担軽減にも繋がるサービスではないかと考える。

 

しかし、その一方で誰も彼もが転職を望んでいるわけではないのは確かだ。

また、本来の意図に沿わない個人情報の取扱がなされれば、決して良いと感じない人間も多いだろう。

何より、それを嫌って様々なサービスの利活用が萎縮する可能性すらある。

転職活動のためにSNSやブログ、技術情報共有サービスを利用している人間など、極々限られた一部の人間だけなのである。

求人・求職とは何ら関係を持ちたくない不特定多数の人間にとって、何ら不利益が生じない形となるよう、今後改善が行われることを願ってやまない。




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電通が労働環境の改善をするのは否定・批判されることか?

2016年末に高橋まつり氏の過労による自殺が大きな話題となった株式会社電通(以下、電通)。

長時間労働是正を中心とした働き方改革を社会に促す契機となったこともあり、今尚記憶に新しい人も多いだろう。

その電通が、2018年4月16日に「当社が推進する労働環境改革の新たな施策について」と題して、新たな労働環境改革(いわゆる働き方改革)の施策を紹介した。

今回は、この件について個人的にふと感じたことをつらつら書こうと思う。

目次





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今だからこそ電通で起きた過労による自殺事件を振り返ろう

 

今回の内容には関係ないが、高橋まつり氏が2015年12月25日に自殺して以降の電通に纏わる動きを軽くお復習いしておこう。

なお、電通においては1991年にも入社2年目の男性が過労によって自殺しており、表になっているのは高橋まつり氏で2人目となっている。

 

高橋まつり氏の自殺の一件が社会的に大きな話題となったのは、2016年9月30日に東京労働局三田労働基準監督署によってその自殺が労災認定されたことによる。

これについて、翌月となる10月7日に遺族代理人が本件を公表したことで、各種メディアが大きく取り上げる一大事件として認識されるに至った。

 

同月14日には東京労働局等が電通本社及び中部、関西、京都の3支社に立ち入り調査を行い、長時間労働が常態化しているのではないか徹底的に調べられることに。

20日には、時間外労働(残業)時間について、過少申告が求められるような状況があったことが各種メディアに取り上げられている。

28日になると、異例ともいえる速度での書類送検が発表。

電通の労働環境に対する違法性が明確に指摘されていることとなった。

 

なお、本件については広告代理店の雄である電通に配慮し、民放各社が及び腰になっているとの指摘もされていた。

そういった中、NHKが本件について積極的な報道をしただけでなく、特集番組を放送したことが高い評価を受けている。

しかし、この翌年となる2017年11月にNHKの記者が2013年に過労死していたこと、それのことを公表しないようにしていた実体が明らかとなったため、その評価は大きく翻されることとなった。

 

電通は、高橋まつり氏の過労による自殺の一件を受けて、厚労省によって与えられていた「子育てサポート企業」の認定を剥奪。2017年1月には、石井社長の辞任を発表した。

電通においては、本件を受けて抜本的な労働環境の改善を発表し、以降改善策の実施とその発表を定期的に行っている。

(電通の本件事件が報道されて以降、様々な企業での過労死等が表面化したが、労働環境の改善に関して継続的に公表している企業はそう多くない。また、行われたとしてもメディアが余り取り上げていない)

過労死者を出した電通の批判にこだわるのは本質を見誤る

 

高橋まつり氏の過労による自殺を受けて、電通に対する評価は地に落ちたと言っても良いだろう。

元々広告代理店の雄であり、実質的に二位以下が存在しないに等しい国内広告業トップシェアとして、黒い話の絶えなかった電通だが、本件を受けて世間の評価はブラック企業一色に染まった。

(当ブログでも便宜上用いることは多くなるが、筆者個人としては曖昧なだけで何ら定義できていない「ブラック企業」という呼称は好ましいものと思っていない)

 

電通=労働環境が最悪な企業というイメージが根強くなり、度重なる労働環境の改善についての発表を受けても、何かしら批判されることとなっている。

 

これについて、実体はどうかは分からないが、筆者個人の意見としてはその姿勢だけは評価されるべきだと考える。また、その施策の内容についても客観的な評価が行われるべき必要があるとも考える。

 

何故ならば、先程少し触れたように、電通同様に過労死者を出していながら、のんべんだらりとしている企業が少なくないからである。多くの人々が知っての通り、労基法違反に対する罰則は不相応に小さく、僅かばかりの罰金を支払っただけで何食わぬ顔をしている企業やその経営者は少なくない。

 

事件に大小はなく、死者を出した者への裁きは公平である。そのため、その後の態度如何で良し悪しや評価に違いをつけて比べるのもどうかと思うが、少なくとも死者を出しながらのんのんとしている企業よりは、まだ電通の方が真摯であり、改善に積極的だと考える。

 

電通は否定や批判を受けて当然のことをしたと思うが、こと改善に対する努力は、客観的に評価されて然るべきだろう。実体がどうかは分からない。未だに持ち帰り残業など過労の現実は変わっていないかもしれない。しかし、公に改善を示し、行動しているのだから、多少なりとも変化がないわけではないだろう。

 

大して何もせず、罪の意識もなく、のんべんだらりとしている人間が、メディアに余り取り上げられない、注目されないからといって否定や批判を受けず、一方で良くなろうと努力している電通が叩かれるのは、些か納得に欠けるものがあると言わざるを得ない。

 

これについては、電通を叩くなとは言わないが、他の過労死や過労による自殺者を出した企業に対して、もっと注目が集まるべきだろうとも考える。昨今の注目を集めることばかりに傾倒しているマスコミやメディアには無理かもしれない。個人では集められる情報に限界があるだろう。しかし、そういった悪人のその後に改めて意識を向けるのは必要なことだと考える。

過労死事件を受けて電通はどのように労働環境の改善しようとしてきたのか

 

なお、私個人として電通を擁護する気は一切無い。過労による自殺者を出したこと、法を犯したこと、長時間人を酷使したこと、どれ一つとっても褒められる点が無い。否定や批判を受けて当然だろう。

 

一方で、先程触れたように、改善させるための努力をしているにもかかわらず、それが公正に評価されないのは、電通のみの問題でなく、社会全体において雇用環境をより良いものにしていく上で問題を感じる。

 

そこで、電通がこれまで行ってきた労働環境の改善(働き方改革)を簡単にまとめおこうと思う。電通を良い会社だと思えとは一切思わないが、労働環境の改善手法にはこのようなものもあるという点で学びになるのは疑いようもない。

 

2016年12月28日

  • 22時以降の業務原則禁止・全館消灯(22時~翌5時)
  • 私事での在館禁止
  • 月間法定外45時間(月間所定外65時間)
  • 特別条項の上限30時間
  • 1日の三六協定時間順守の徹底
  • 新入社員の特別条項申請禁止
  • 啓発活動のためのツール制作
  • 社長執行役員を本部長とする「電通労働環境改革本部」発足

 

※出展:電通、本日付で「電通労働環境改革本部」を発足

 

2016年12月6日

  • 業務内容と業務プロセスの抜本的な見直し
  • 全社員の約1割に相当する650名規模の配置換えと異動
  • 全社労働時間の縮減と個人レベルの業務量の平準化、業務品質の維持を目指す
  • 各局に人材マネジメントを担当するマネジメント職(合計約70名)を配置
  • 第二新卒の採用強化、中途採用枠を大幅に増大
  • 「労務関連法規の理解徹底」を最優先の課題と位置づけ、役員以下全社員を対象とした研修・啓発活動実施

※出展:労働環境改善の取り組みについて

 

2016年12月9日

  • マネジメント職の評価に部下からの評価を取り入れる「360度評価」を2017年度から導入
  • 非マネジメント職の評価について、社員一人一人の成長・キャリア開発を重視した「中期的目標達成」を評価軸に導入を検討。そのための労使協議を2017年1月から開始
  • 各局単位での「有給休暇取得率50%以上」を目標とした組織管理指標を2017年度から導入
  • 電通からの発注業務による、制作会社などの従業員の深夜作業や長時間労働発生抑止に向け、新たな発注ルール・工程管理方法策定に向けた協力企業各位との協議を順次開始
  • 「鬼十則」を社員手帳等への掲載・掲出することの取りやめ

※出展:多様な価値観とワークライフバランスを大切にする新たな企業文化の創造に向けた取り組みについて

 

2016年12月22日

以下の施策を策定。尚、具体的な内容は出展元を参照(具体的な内容が非常に参考になる)。

  • コンプライアンス関連の意識・知見の拡充
  • 全社を対象とした業務平準化・要員再配置
  • 社員のモチベーションの維持・向上
  • 社員の健康管理・各種ケアの拡充
  • 働き方に関する選択肢の多様化
  • 労務管理の改善・徹底
  • マネジメントの拡充に向けた評価制度の全面改定
  • 社員の自律的成長支援

 

※出展:労働環境改革の進捗状況について

 

同12月22日

  • 保活コンシェルジュサービス導入
  • 契約保育施設の新規提携、増枠
  • 復職時面談
  • ベビーシッター利用料の補助
  • 女性活躍推進の社内ホームページを作成
  • 介護休業の分割取得
  • 介護のための時差・フレックス勤務の新設、時短勤務の期間延長
  • 介護相談窓口の設置
  • 介護ガイドブックと社内ホームページ作成

※出展:育児・介護施策の拡充について

 

2016年備考:労働基準法違反容疑による書類送検と再発防止に向けての当社の取り組みについて

 

2017年2月14日

労働環境改革に関する独立監督委員会

※出展:労働環境改革に関する「独立監督委員会」の設置について

 

2017年備考:当社の労働基準法違反に対する判決について

 

2018年2月13日

2018年末までに「改革に必要な環境・基盤整備」の完了を目指すことを発表。加えて、成果や経過を報告。

  • 労務管理の徹底と見守りの強化
  • 業務棚卸しによるワークダイエット
  • ワークスタイルのスマート化

尚、具体的な内容は出展元を参照(参考になる内容が書かれている)。

成果としては、以下の内容が方向されている。

  • 三六協定超過者が2017年4月以降0人(通年で見ても1月に時間管理への移行に伴う認識不足による超過者が発生、3月に1名超過者が発生したのみ)。
  • 管理職を含む社員1人あたりの総労働時間は2016年が2,166時間、2017年は目標値である2,100時間以下を達成。(参考:1日8時間、年間125日休暇として1,920時間)
  • 有給休暇取得率64.0%

※出展:当社が推進する労働環境改革について

2018年4月16日

  • 毎月第2・第3の水曜日か金曜日を休暇とする「インプットホリデー」を試験導入
  • 出社時に社員のコンディションを可視化する「バイタリティノート」導入
  • 「ひとりひとりの成長支援」を目標とした年間100時間以上の学びの機会を提供
  • コア業務集中を支援するノンコア業務代行CoE(Center of Excellence)サービス導入
  • 業務プロセスの可視化及びシステムによる一元管理
  • 在宅勤務/フレックス/インターバル制度導入
  • ITを含むオフィス設備の進化
  • 人事制度の見直し

※出展:当社が推進する労働環境改革の新たな施策について

 

実体はどうか分からないが、このように電通は労働環境の改善(働き方改革)に向けて、様々な施策を検討・実施し、成果もそれなりに出している。

 

また、各種施策は電通だからこそできるというものに限らず、中小企業等でも導入を検討、試験的に運用し本実装できるものも少なくないだろう。

 

電通が否定、批判されるのは当然だが、このような労働環境の改善に向けた取組までもが否定、批判されるのは明らかに可笑しな話である。否定や批判をする時間があるのであれば、翻って自社はどうだろうかと考えるべきだろう。

 

「就職四季報」によれば、電通は国内で平均年収9位(1,248万円)に位置する高収入が期待できる企業である。その代わりに命を削ると批判する人間もいるが、果たして命を削る程の労働時間を課しながら低賃金しか出せない企業はどれ程あるだろうか。

参考:最新!「平均年収が高い会社」ランキング300

 

ベンチャー企業やスタートアップと言われる企業、個人事業主による事業所、一般的な中小企業。酷使するだけ酷使しながら、これだけの給料が出せているだろうか?

 

昨今、働き方改革で注目される企業も増えたが、そういった企業は果たしてどれだけの給料が出せているだろうか。働き方改革を建前に低賃金で搾取している企業が少なくないのが現実なのではないか。

 

死んでしまっては元も子もない。それは間違いない。しかし、低所得が大きな問題となっている今の日本で、これだけの給料を支払いながら、それでいて労働環境の改善に多額の金を投じ、成果も出している企業はそう多くないだろう。

 

金を出せば良いという話ではない。犯した罪が消えるという話でもない。ただ、金も出しながら、積極的に労働環境の改善に取り組んでいる事実は事実として見るた方が良いという話である。

 

誰だって働くのであれば、労働環境がより良い形で整備され、しっかりとした金が貰える企業の方が良いだろう。電通だからといって闇雲に否定や批判をするのではなく、出すものを出し、労働環境の改善にも取り組んでいるという一面も見ても良いのでは無かろうか。

 

なお、この電通の労働環境の改善施策から大船渡市内の働かせ方において感じたこと、経営者が現状真っ先に考える必要がありそうなことは以下のリンク先で記した。興味があれば一読頂けるとありがたい。

電通の働き方改革から考える大船渡市の働かせる側に必要なもの

 




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東京労働局長の発言は不適切だったのか?

東京労働局長の発言は不適切だったのか?

2018年3月末、東京労働局長が定例記者会見に際して、出席した新聞・テレビ各社の記者団に対して「皆さんのところに行って是正勧告をしても良い」といった発言を行ったと多くのメディアが報道した。

 

「是正勧告してもいい」 東京労働局長がマスコミを“恫喝”

東京労働局長が撤回 報道各社に「是正勧告してもいい」

「是正勧告してもいい」 マスコミに東京労働局長が失言

 

本件について、マスコミ・メディア各社の言い分は、「権力を振りかざした恫喝のようなものであり、不適切な発言だ」ということなのだろう。
しかし、この発言は本当に失言なのだろうか?

目次





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東京労働局長の発言に新聞・テレビ各社が色めき立つ気持ちは察する

 

東京労働局に限った話ではなく、厚生労働省直下の組織である労働局の仕事は、多くの人々が知っての通り、誰もが安心して働ける環境の整備であり、その為に行政サービスの提供や各種法制に基づいた雇用の運用が適切に行われているか監督することなどである。

 

身近なものとしては、ハローワークや労働基準監督署があげられ、お世話になったことのある人も少なくないだろう。今回問題視されている発言の下となっている是正勧告は主に労基署の仕事であり、簡単に言えば「法律に従った働かせ方をしていない事業所に指導しますよ」という内容である。

 

つまり、今回の発言をかみ砕いていえば「新聞・テレビ局の働かせ方に違法性があるのは分かっているから、指導に入ってもいいんですよ?」という内容であり、行政に許された指導行為を盾にして、新聞・テレビ各社を牽制したように見えるのは不思議ではない。

 

また、東京労働局長にその意思があったと見られてもおかしくはないだろう。そう考えれば、本件の発言が不適切な発言であり恫喝とも取れる許されざる発言だとマスコミ・メディア各社が色めき立つのも無理はないかもしれない。だが、あくまで私見を述べさせてもらえば、本件は双方に問題があるようにしか感じられない。

 

なぜ東京労働局長と新聞・テレビ各社の双方に問題があるのか

 

本件について、なぜ私が双方に問題があると感じるのか。その理由は主に以下の2点である。

 

  • 労働局長の発言が真であるならば、新聞・テレビ各社は違法な長時間労働などの不法行為を働いており、それは是正されなければならない。また、それを咎められる可能性を以て、恫喝だと喚くのは開き直りでしかない
  • 労働局の業務は労働法制が適切に運用されるよう監理することであり、違法性が確認できているのであれば、今回の発言のような牽制をする以前に、適切に取り締まらなければならず、それを行っていないのであれば、それは職務怠慢でしかない

 

つまり新聞・テレビ各社は、仮に不法行為を行っているのであれば、それを正すのが筋であり、東京労働局長の発言の揚げ足を取って騒ぐのは、自衛のためなのか、印象操作のためなのか分からないが、最早報道の体を成しているとは感じられない。

 

そもそも、これを恫喝だ失言だと喚くのであれば、東京労働局長のこの発言が真ではないことを示すのが先だろう。自分達は違法な長時間労働などをしていないと証明することこそが、権力の圧政だと報じることに繋がるのではなかろうか。それをしないのは、ほぼほぼ自分達の非を認めながら、そこから必至に目を逸らそうとしているのと大差ない。

 

東京労働局長も、是正勧告を行える確証があるのであれば、それをわざわざ見逃す道理がない。堂々と職務怠慢していると言わんばかりの発言を行うのは、まさしく不適切だろう。本件は、恫喝だの失言だのと言われる意味で不適切なのではなく、労働行政を監理する立場にありながら、その職務を放棄していると言わんばかりの姿勢を露見させていることこそが不適切なのである。この点については、厚労省から咎められても全くおかしくない汚点ではなかろうか。

 

新聞・テレビ各社の一体何に忖度しているのか知らないが、違法性が確認できているのであれば、すぐさまそれが合法的な内容になるよう正すのが、労働行政を監理する労働局のあるべき姿である。暢気に権力を振りかざして小山の大将ごっこをして遊んでいる場合ではない。それとも、何ら確証なくこのような発言をしたのだろうか。それならば、本件は確かにマスコミ・メディア各社が言うように恫喝的な失言といえるだろう。

 

ブラック企業問題が無闇に叫ばれる昨今だからこそ労働局の立場は重い

 

個々人の主観が強いため、事実がどうかは分からないが、労働行政の仕事振り、とりわけ労基法など労働三法の違反を取り締まる仕事に対する不満は非常に多く見られる。ブラック企業が問題視される昨今に至っては、不満が爆発して大きな話題になることも多く、中には単なる個人の怨嗟が元になったデタラメな内容を根拠に、ひたすら周囲を煽るような輩まで出る始末である。

 

SNSなどのおかげで、これまで表にならなかった悪質な雇用問題が明るみになり、その改善が図られるのは素晴らしいことだが、全く労働法制に悖らないデタラメな話を悪のように騙り、誤った情報が流れるのは、それはそれで大きな問題としかいえない。

 

だからこそ、労働法制を監督する立場にある労働局においては、今まで以上にしっかりとした業務の執行を行って欲しいものである。今回のような怠慢と見られるような発言には、注意して欲しい。マスコミ・メディア各社に関しては、報道する自由を笠に着て、我が身かわいさの単なる自己主張を、さも報道であるかのように吹聴するのはいい加減慎んで欲しいものである。

 





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